家庭で行うHACCP
食中毒というと、レストランや旅館などの飲食店での食事が原因と思われがちですが、毎日食べている家庭の食事でも発生していますし、発生する危険がたくさん潜んでいます。
厚生省に報告のあった食中毒事件だけを見ても、家庭の食事が原因の食中毒が
全体の20%近くを占めています。
食中毒には、O157やサルモネラなどの細菌による細菌性食中毒、食品に洗剤などの物質が混入したりして発生する化学性食中毒、毒きのこや自家調理のふぐなどを食べた時に発生する自然毒性食中毒、などがあります。
とりわけ発生の多いのがO157の代表される細菌性の食中毒で、全食中毒のうち90%程度を細菌による食中毒が占めています。
細菌がもし、まな板に付いていたとしても、肉眼で見えません。しかし、目に見えなくとも簡単な方法をきちんと行えば細菌による食中毒を予防することができるのです。
宇宙食はどうやって作る?
ロケットに乗って長期間宇宙を旅する時、宇宙飛行士たちの食事はすべて地球で作ってロケットに積んでいきます。
狭いロケットの中で、しかも宇宙旅行中に食中毒になったら大変です。飛行士達の食事は絶対に安全でなければなりません。
そこで、NASA(アメリカ航空宇宙局)は、食品の安全性を確保するための方法を考え出しました。
これがHACCP(危害分析重要管理点)という方法です。
HACCPとは?
以前のブログでも触れましたように、HACCPとは危害分析(HA)・重要管理点(CCP)と呼ばれる衛生管理の手法です。
最終製品の検査によって安全性を保証しようとするのではなく、製造における重要な工程を連続的に管理する事によって、ひとつひとつの製品の安全性を保証しようとする衛生管理の手法です。
家庭の調理における「危害分析」(HA)とは、食品およびその調理過程に含まれる可能性のある食中毒原因と、その発生防止方法を分析することです。
食品と調理過程のどこで食中毒菌による汚染、増殖が起こるか、それを防ぐにはどういう手段があるかを考える事がこれにあたります。
例えばO157やサルモネラによる食中毒などは重大な害と言えます。このような害をどのようにしたら防げるかについて手順を明らかにし、調理の際、特に注意を払うべきポイント(正しい調理法)を「重要管理点」(CCP)と呼び、家庭では「6つのポイント」がこれにあたります。
さらに、HACCPでは、そのような正しい調理方法がきちんと守られているか常にチェックし、記録します。
家庭で行うHACCP
食品工場で行うHACCPは非常に事細かく危害分析し、重要管理点を定め、大変むずかしいものとなっていますが、それは、食品工場で作られる食品は長期間かつ広い範囲に流通するため、厳重な衛生管理と安全性が要求されるためで、家庭で作る料理でもその考え方の基本は同じであり、行わなければならないことです。
「きれい」と「清潔」は違います。きれいな台所が必ずしも清潔で衛生的な台所とは限りません。
見たところピカピカに光った真新しい台所。でも、食中毒菌はいないのでしょうか? いたとしたらそれは、「きれい」なだけの台所です。
それよりも、多少古くても、ちょっとした簡単な方法で食中毒菌がいなくなった台所、これが「清潔」な台所です。
きれいに見える食器や手指、ラップに包まれた食品なども必ずしも清潔ではなく、食中毒菌が居る場合もあります。外見だけで安心せず、衛生的な調理、取り扱いを心がけましょう。
食中毒の予防には「きれい」なことよりも「清潔」で「衛生的」なことが大切なのです。
食中毒は簡単で基本的な予防方法をきちんと守れば、防ぐことができます。
HACCPは最新の衛生管理の考え方ですが、家庭でも実行できます。
次回のブログでは、食中毒予防の家庭でできる「6つのポイント」を紹介致します。
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